JRの高田馬場駅ホームにある看板の中に、以前から気になるものがありました。

これです。

愛国製茶。
なんでしょう。この、私たちの心をザワつかせる社名は。
だって愛国ですよ、愛国。




どうやら高田馬場の会社だというではないですか。

高田馬場西商店街に、お店もあるじゃあないですか。

さらには大手百貨店にお店を出しているというじゃぁないですか。




ちょっとこれは行っとかなあかんのじゃないの~?

ということでやってきました。
新目白通り沿い、都電荒川線面影橋駅前に、愛国製茶本社ビルはあります。

この日は4代目、馬場章夫社長がじきじきに応対くださいました。

高田馬場新聞
「愛国製茶さんって、ずいぶんパンチのきいた社名ですね」

馬場社長
「当社は私で4代目になるんですが、創業者は若い頃、福沢諭吉の書生をしていまして。
それで慶応大学で漢文学者になったんです。

で、晩年に退官する際、息子の二代目と始めたのが日本茶の卸売業だったんですね。
娘の嫁ぎ先が静岡で製茶業をやっていたので、そちらから仕入れて。

当時は日本が戦争に向かっていた時期。
慶応の人脈もあり、販売先は陸軍、満州軍、宮内省などが中心でした。
そんな経緯があって、法人を設立した昭和16年に付けられた社名が『愛国製茶』だったと」

高田馬場新聞
「むぅ。時代の空気を映し出しているのですね」

馬場社長
「まぁでも、法人設立したら3年で戦争終わっちゃったんですけどね」

高田馬場新聞
「あらら」




そう。昭和20年に戦争は終わり、日本の進路は大きく変わっていったわけです。
そんな中でなぜ愛国製茶の名が今に残っているのでしょう。

馬場社長
「その当時、当社の販路は百貨店さんへの卸売りだったんですね。
それは現在にも続いている重要な販路なのですが。

そしてその当時、お茶の銘柄を気にする人はいても、
それを卸している会社の社名を気にする人はほとんどいなかったんです」

高田馬場新聞
「ふむふむ。今とは違う感じですね」

馬場社長
「あと、愛国製茶として業界での知名度も高かったので、
そのままの方が商売がしやすかったようです」



そんなこんなで日本の経済発展と共に業容も拡大。
現在では東京・東日本を拠点とする多くの百貨店へと取引先は拡がっています。

そんな時、いわゆる「安保闘争」がやってきます。

馬場社長
「70年安保の時なんかには、
愛国とはなんだ!とにかくけしからん!みたいなことなのか、

本社ビルの前に火炎瓶が置いてあった

そうですよ(笑)」


高田馬場新聞

「え!ぜんぜん笑いごとじゃぁないのでは!?」

馬場社長
「まぁこの辺りにも、早稲田大学とか学生さんが多いですからね。
とは言え、どこまで本気だったかはわからないみたいですよ(笑)。

だってほら、ウチ、お茶屋さんなんですから」

高田馬場新聞
「えーーー(笑)。
でもそうは言っても、怖いでしょう」

馬場社長
「今でも言われる時があるんですよ

そっち系の組織の資金源なんじゃないか?とか

ないですよね〜。言ってやりたいですよ。
それならお茶屋さんなんてやらないですって(笑)
厳しい業界なんですから〜」

高田馬場新聞
「わぁ、とんでもないことをサラッとおっしゃいますね(笑)。
でも、やっぱり業界的には厳しいですか?」

馬場社長
「えぇ。茶商の団体があるんですけど
加盟しているのは新宿区で以前は200軒ありました。
それが今では10軒ですからね」

馬場社長
「当社はとにかくお茶を“売る”ことを突き詰めてきた会社です。
静岡にパッケージングの工場を作ったのもその一環です。
それに、名人の作るお茶から比較的お手頃なものまで、幅広く品揃えられるのもウチの強みですよ。

ペットボトルのお茶を売っているところとか、京都の老舗茶舗などとは全く違う戦略を取ってきたことで生き残ってきたと言えます」




淡々とした語り口の中に、歴史ある企業を背負う責任感と挑戦する男の気概を感じます。

高田馬場新聞
「最近は、洋菓子なども作っておられるのですよね」

馬場社長
「はい。私が社長を継ぐ前、1999年にTea-Tsuというブランドを立ち上げました」

高田馬場新聞
「当時は表参道にも出店されたとか?」

馬場社長
「周りからはだいぶ反対されましたけどね(笑)。
でも、このままでは日本茶はジリ貧だとの想いから始めました。

日本茶と洋菓子の組み合わせとしては、東京での先駆けとしてかなり話題にもなりましたし、よく売れました。
表参道の店はその役割を終えたのでその後閉め、愛国製茶の各店舗で販売をしています」

高田馬場新聞
「高田馬場4丁目のお店でも買えますか?」

馬場社長
「はい。もちろん。
4丁目の店舗近く、今はコンビニになっているところが私どもの創業の地です」

高田馬場新聞
「お抹茶を使っているんですね」

馬場社長
「そこだけは外さないようにしています。
そうでないと、我々がやる意味がありませんからね」

高田馬場新聞
「なるほど。とても腑に落ちます」

馬場社長
「4丁目の店舗は家内に任せていますが、
ご近所の常連さん、周辺の企業様の社用としてお使い頂くことが多いようです」

高田馬場新聞
「あ、話は変わりますが、地域活動にも熱心に取り組んでおられるとか」

馬場社長
「商工会議所の新宿支部で副会長を務めるなど、いろいろやってます。
高田馬場を新宿のバックヤードとしての機能を持った街にしていきたいと思って」

高田馬場新聞
「高田馬場ならではの街づくり、これからの課題ですよね。
私も取材する中でそんなことを強く感じます」

馬場社長
「いずれにせよ6年後に向けて東京は大きく変わるわけですよね。
その流れに高田馬場が置いていかれるわけにはいかないですよ」





店舗で奥様にお話を聞いた際にも「いろんなことをグイグイ進めていく行動派」とのこと。
高田馬場新聞も非常にシンプルかつ合理的な判断を下す経営者という印象を受けました。

新宿区にも観光振興協会が立ち上がるなど、いろんなことが動き始めています。
高田馬場新聞にも、できることがいっぱいありそうです。
ご一緒できることもきっとあるのではと、ワクワクする取材と相成りました。




あ、ちなみに今月(2014年7月)は、お中元フェアを開催中とか。

送料無料と500円相当の銘茶プレゼント(いずれも購入金額により)があるそうです。
特に銘茶プレゼントは高田馬場店だけの特典なんだとか。
この機会にぜひ〜!

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SHOP DATA
愛国製茶 高田馬場店
住所   東京都新宿区高田馬場4-12-7
電話番号 03-3363-6611
営業時間 10:30~18:00
定休日  日曜・祝日・第1、第3土曜
土曜営業


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